通勤快読ブックレビュー

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クラインの壺 【岡嶋二人】 (1989)

【あらすじ】

ゲームブックの原作募集に応募したことがきっかけでヴァーチャル・リアリティ・システムの制作に関わることになった青年・上杉。アルバイト募集を見てやってきた少女・高石梨紗とともに、謎につつまれた研究所でゲーマーとなって仮想現実の世界へ入り込むことになった。ところが、二人がゲームだと信じていたそのシステムの実態は・・・?上杉と高石はどうなってしまうのか・・・?

【感想など】

この作品は、岡嶋二人氏(井上泉氏と徳山諄一氏によるコンビのペンネーム)の約20本の長編小説の中でも最高傑作だと思います。

現実とヴァーチャル・リアリティの世界を行き来しているうちに、どちら本当の現実世界なのかがわからなくなってしまった主人公の上杉青年。高石梨紗が存在する世界が現実なのか、それとも、高石梨紗の存在そのものがヴァーチャル・リアリティの世界の中でのことなのか・・・最終的には、自らの命を絶つことでしか、それを判断することができなくなってしまいます。ヴァーチャル・リアリティの世界であれば、それでゲーム・オーバーだけど、最初からもう一度やり直せばいいだけの話、でも、もし現実世界だったら・・・

この作品の面白い(というか恐ろしい)ところは、それが小説の中でのお話、という訳では決してなくて、現代のIT(インフォメーション・テクノロジー)の急激な発展を考えると、いつ本当に起きてもおかしくはない、ということを読後に強烈に実感させられるところです。

ヴァーチャル・リアリティのゲーム機が世に出始めたのは、ここ数年のことですよね。まだ実際にそれをプレイしたことはないのですが、近い将来、ITの発展によって、本当に現実との区別ができないほどのゲーム機が開発されたら・・・?

そう考えると、ゾーっとしてきますね・・・。

それにしても、30年も前にこのような発想の小説が書けてしまう岡嶋二人先生、スゴすぎます!

【評価】

★★★★★

【映像化】

1996年にNHK教育テレビのジュニアドラマとして、主演の上杉彰彦を国分博さん(当時ジャニーズJr.)、ヒロインの高石梨紗を中山忍さんで全10話構成で放映されていたようです。知らなかったなー。もう一度、新たなキャストで映像化してほしいですね。破滅に導かれていく悲劇の主人公は、抜群の演技力が光る神木隆之介さんにぜひ演じていただきたいです。純粋で一途なヒロイン役は、黒島結菜さんにぜひお願いしたいです。

 


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