通勤快読ブックレビュー

電車の中は誰にも邪魔をされない私だけの図書館。何かいい本はないかとお探しのあなたのために。

神様の裏の顔 【藤崎翔】 (2014)

【あらすじ】

神様のような清廉潔白な教師、坪井誠造が逝去した。その通夜は悲しみに包まれ、誰もが涙した。・・・のだが、参列者たちが「神様」を偲ぶ中、とんでもない疑惑が。実は坪井は、凶悪な犯罪者だったのではないか・・・。
坪井の美しい娘、後輩教師、教え子のアラフォー男性と今時ギャル、ご近所の主婦とお笑い芸人。二転三転する彼らの推理は?
第34回横溝正史ミステリー大賞受賞作。


【感想など】

この物語は、最初から最後まで、登場人物のモノローグのリレー形式で書かれています。今までこのような形式の小説を読んだことがなかったのですが、人物Aがこういう発言をした後で人物Bはこう思った、などの展開が非常にわかりやすいですね。

物語の場面は「神様」のような教師・坪井誠造の通夜の席、誰もがその思い出に浸り、悲しみの涙を流す中、ある人物がふと、「いや、待てよ、こんな事もあったよなあ、でも、まさか先生に限って・・・」という疑惑を抱くのですが、同じように何人かの列席者が疑惑を持っているのが判明し、それでは、別の場所でちゃんと整理して話し合いましょう、ということで、場所を変えて、それぞれの疑惑を語り合います。
いよいよ坪井の疑惑が確定的となり、実は凶悪な犯罪者だったという「裏の顔」が見えたところで、ある人物から「ちょっと待ってください。でもこの件は・・・」と逆に坪井の疑惑を否定する発言が飛び出し、それぞれの疑惑も「これは実はこういう事で・・・」「これも実は・・・」と次々と否定されて、「なんだ、やっぱり先生は少しも悪くなかったのか」という、ハッピーエンド的な結末を迎えるのかと思いきや、実は・・・という最後のひとひねりがまだありました。

展開が二転三転する様はとてもスリリングで、面白く読めました。登場人物のキャラクター設定にも無理がなく、かつそれぞれがちゃんとした背景を持っているので、各人物のモノローグもスムーズに入ってきます。

最後のひねりは、「そう来たかー!」という感じでしたね。特に目新しいトリックとかではないのですが、「ここでそれを使うのか!」「うまいこと騙された!」感があって、ある意味、爽快です(最後まで読んでからもう一度読み返してみると、伏線が随所に散りばめられているのですが、気が付かなかったなあ・・・)。

でも、ちょっと作為的にミスリードさせ過ぎ?のような気もしますけどね。

作者は、執筆活動をする前はテレビにも出たことがあるお笑い芸人だったそうです。そのせいでしょうか、全体的に軽いタッチでユーモアに富んでおり、最後まで肩に変な力が入ることなく、読み進められます。

時にはこのような軽快なストーリーもいいですね。

 

【評価】

★★★★☆


【映像化】

まだテレビなどでの映像化はありません。キャストを決めるとしたら、主人公であり坪井誠造の娘の坪井晴美に倉科カナさん、場の進行役を務めるお笑い芸人の寺島悠に桐谷健太さん、同じく進行役の今時ギャル、鮎川美希に石川恋さんという配役で見てみたいですね。

 


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