通勤快読ブックレビュー

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秘密 【東野圭吾】 (1998)

【あらすじ】

自動車部品メーカーで働く杉田平介は、妻・直子と就学5年生の娘・藻奈美との3人で暮らしていた。ある日、直子と藻奈美を乗せたスキーバスが崖から転落してしまい、直子は死亡してしまうものの、藻奈美は奇跡的に一命を取り留める。意識を取り戻した娘の体に宿っていたのは、死んだはずの妻・直子だった。その日から、杉田家の奇妙な”秘密”の生活が始まるのだった。

第52回日本推理作家協会賞受賞。

【感想など】

東野圭吾氏は、今の日本で最も著名な推理作家と言っても過言ではないと思います。

デビューの頃はそれほど注目されてはいなかったのですが、この「秘密」の刊行で一気にブレイクし、人気作家の仲間入りを果たします。その後の活躍は皆さんご存知のとおりで、良質の推理小説を次々と発表し、またその多くが映画やドラマで映像化されています。

ご紹介したい作品はいろいろとあるのですが、まずはブレイクのきっかけとなった「秘密」にスポットを当てたいと思います。

スキーバスの事故で九死に一生を得た娘・藻奈美が意識を取り戻した時、その体に宿っていたのは、死んだはずの妻・直子でした。主人公・平介は、娘の体に宿った妻に戸惑いながらも、決して周囲にバレないように、”秘密”の生活を続けていくことを決心します。

しかしながら、この”秘密”が本のタイトルの”秘密”ではありません。

・・・

もう少し話を進めると、奇妙な生活をスタートはさせたのですが、次第に妻(体は娘)との心のズレを感じ始めます。月日は経ち、藻奈美は高校に進学するのですが、このような生活に限界を感じ始めた頃に、消えていたと思われていた娘の意識が突然よみがえります。その時は、短い時間で意識は妻に戻ったのですが、それ以来、度々娘の意識が戻るようになり、その時間は少しずつ長くなっていきます。そして、最終的には、娘の意識が完全に回復し、妻の意識はもう決して戻って来ない時がくることを、平介も直子も藻奈美も理解し、その時を迎えようとするのです・・・。

話を進めましたが、しかしながら、ここまでの”秘密”が本のタイトルの”秘密”ではありません。

・・・

物語のラスト数ページで語られる、本のタイトルの”秘密”の本当の意味を理解した時、驚愕で呆然とし、同時に、すべての状況を把握し認識し、その”秘密”を貫こうと決めた、その悲愴な決意に涙が出ました(誰の?とは言えませんが)。

 

いったい、どこからが”秘密”だったのか・・・?

その”秘密”の真意を気づかせたのは、故意だったのか・・・?

(ネタバレになってしまうので、中途半端な書き方ですいません。)

 

いや、とにかく深い作品です。

ラストまでのプロセスも見事ですし、ラストの決着の付け方も見事です。推理小説というジャンルでは括れないですが、東野圭吾氏のストーリーテラーとしての才能が光る、氏の作品の中でも1、2を争う素晴らしい作品に間違いないと思います。

【評価】

★★★★★

【映像化】

映画、TVドラマなどで何度か映像化されています。

映画では、1999年に公開されました。杉田平介役に小林薫さん、藻奈美役に広末涼子さん、直子役に岸本加世子さん、というキャストでした。広末涼子さんが役にしっかりハマって、映画としての完成度も高かったですね。この3人で、日本アカデミー賞主演男優賞、主演女優賞、助演女優賞を受賞しています。

2010年には、TVの連続ドラマで放映されました。この時のキャストは、平介役に佐々木蔵之介さん、藻奈美役に志田未来さん、直子役に石田ひかりさんでした。

 


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